ふと近鉄920系(現1010系)のことが気になったので、ちょっと書き綴ってみることにしました。
近鉄920系は1980年代半ばごろまで京都・橿原・天理線で活躍していた車両。
車体外観は8000系などと同じで比較的新しい車両のようでしたが、実は旧600系から機器を流用した吊り掛け車だったということで、興味があります。
つまり、車体だけ新しくして古い機器を流用して作られる、いわば「更新車」ということで、京阪の旧600・700系のようなものと言えます。
私自身、1980年代前半ごろに920系を時々見かけたことがあります。
車両形式が3桁でありながら、冷房&行先種別電動幕付きということで、気になる存在ではありました(奈良線系統の3桁形式といえば、当時小型車の800・820系と大型車900系もあったが、いずれも非冷房車)。
ただ、実際に乗ったのは、京都線で一度だけだったと記憶しています。
しかも確かTc車だったようで、モーター音まで聞くことはできなかったようです。
(冷房化と同時に制御機器がカルダン式に取り替えられたみたいなので、旧型車の見る影もありませんでした。)
運用上は、汎用の8000~9000系列(900系を含む)と併結できないシステムになっていたため、3両編成限定運用に当てられて(3両編成ユニットは他に8000・8400・9200系があった)、3000系(廃車)と同様、奈良線大和西大寺以西への営業運用に入ることはなかったそうです。
この920系は、1987~88年にかけて全て名古屋線に転属、小改造の上で1010系に形式変更されました。
920系は3両編成で組成されていましたが、京都・橿原・天理線において4両編成以上での運用が当たり前となって3両編成ユニットの需要が低減したこともあり、システム共通化の観点から名古屋線転用に920系が選ばれたのでしょう。
名古屋線に移った1010系は、同線区における他の丸屋根車とちがって、裾が絞られているので目立ちやすいですね。
仮に今も920系が奈良線区に残っているとすれば、運用の効率上、田原本線ワンマン運用に就く可能性が高いでしょう。